2013年2月25日月曜日

一瞬、人生最大最悪のパニック状態に陥りました<元検弁護士のつぶやき>



キノコ採り [弘前支部]

キノコ採りの小学生2人と祖父、山で一夜 自力で下山

 岐阜県の山にキノコ採りに入った68歳のおじいさんと7歳の双子の孫二人が道に迷ったが、約20時間後に自力で下山して助かったというニュースです。きっとおじいさんが山に慣れた人であったので冷静な判断ができたのだろうと思います。

 このニュースでちょっと怖い思い出を思い出しました。

 青森県というのは山菜の宝庫です。
 弘前支部では、秋ともなりますと、職員が山へキノコ採りに行って、昼休みに採ってきたキノコでみそ汁を作ってみんなに振るまうというアットホームなところです。
 そんな弘前支部で、私の立会事務官(※)のY君が仕事の合間になにやら木を削っていました。
 何をしているんだろうと思ってましたが、彼は私のためにナイフの鞘を作っていたのです。別に鞘付きのナイフを買えばよさそうなものですが、なぜか彼は手作りの鞘付きナイフを私に差し出して、「検事、キノコを採りに行きましょう。」と誘ってくれたのです。
 私は、キノコ採りなど初めての経験であり、好奇心も手伝って、「行こう、行こう」と言いました。そして、そのようになりました。(これ、誰のパクリか分かりますか^^)。
 それはともかく、ある秋の日曜、私はY君の車に同乗して山道を走っていました。
 見るとところどころに車が停まっています。みんなキノコ採りの人の車のようです。
 キノコというのは毎年生える場所が決まっているとのことで、おいしいキノコ(舞茸など)が生える場所は親兄弟にも教えないそうです。
 Y君はお目当ての場所があるようすで車を走らせ、某所に止めました(別に場所を秘しているわけではなく、私にはどこの山のどのあたりか全くわからないだけです)。
 Y君は、私にキノコ採りを楽しんでもらおうと思って、親にも教えないとっておきの場所に案内してくれたようでした(私はそう信じてます^^)
 私は、Y君が作ってくれた鞘付きナイフとビニール袋を持って、Y君と一緒に山に入りました。
 少し行ったところで、Y君は、「このあたりで探しましょう。僕からあまり離れないくださいね」と注意し、キノコ採りが始まったのです。
 最初は、おっかなびっくりで探し始めたのですが、さすがに青森、けっこうキノコが見つかるのです。
 見つかるたびにY君に「おい、これは食べられるか?」などと聞きながらせっせとキノコを採っていました。
 そのうちだんだん食べられるキノコが見分けられるようになり、Y君に確認することも減っていきました。
 ここに油断が生じたのでしょう。
 それに天然のナメコが見つかったりして(これは数が少ない)有頂天状態になった私は、腰をかがめ下ばかりを見ながら、もっとないか、もっとないかと探し回っていたのですが、腰の疲労に耐えかねて立ち上がり、ふと周りを見回すと、Y君の姿はなく、周囲の景色も一変していました。
 このときの私の気持ちを想像できますか(^^;;;
 一瞬、人生最大最悪のパニック状態に陥りました。
 次に湧き起こったのはとにかく走り出したいという衝動でした。
 かろうじてその衝動を抑え、「おーい」と叫ぶと「はーい」と意外に近くからY君の声が聞こえましたので、心底ほっとしたものでした。
 そこは最初にキノコを採っていた場所から、20メートルも離れていないところでした。

 キノコがたくさん採れて楽しい思い出ではありましたが、山の怖さを垣間見た一日でした。

 ただ、せっかくY君が作ってくれたナイフの鞘をいつの間にかなくしてしまい、Y君に大変申し訳ないことをしてしまいました。
 Y君、ありがとう、そしてごめんなさい。

※ 立会事務官
検事の秘書のような立場で、常に検事と一緒に行動し、検事の手足となってくれる検察庁の事務官のことです。
検事一人に一人の立会事務官が専属的につきます。
ほんとの女房より一緒にいる時間の長いまさしく女房役の事務官です。
モトケン (2005年10月23日 20:48) | コメント(2) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:キノコ採り [弘前支部] - 元検弁護士のつぶやき


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