2013年2月25日月曜日

そして、私もそれほど平均から外れた検事だったとは思っていないのです<元検 弁護士のつぶやき>



検事の認識

 先日の「取調べの可視化」に対して、ヒロコさんから

>モトケンさんの意見は、警察で取り調べられる人は全て罪を犯しているという前提で言われていると思われます。

というコメントをいただいたんですが、正直これはショックでした(^^;
 ヒロコさんがどういうところを根拠にこのように思われたのか聞いてみたいところですが、それはそれとして検察庁の事件処理に関する統計資料を紹介しておきます。

 平成16年の犯罪白書の資料ですが上から6番目の図表6罪名別検察庁終局処理人員を見ていただきたいと思います。
 重大事件の典型として殺人事件を見て見ますと、処理総数1568人であり、殺人事件を検察庁が独自捜査することはまずありませんから、これらは警察で取り調べて検察庁に送致した人数です。
 これに対して実に3分の1に相当する522人が起訴猶予以外の理由によって不起訴になっています。
 起訴猶予以外の理由の大半は嫌疑不十分つまり証拠不十分であると思われます。

 この数字から見ても検事がかなり慎重に検討していることが分かります。
 少なくとも平均的検事が、「警察で取り調べられる人は全て罪を犯している」とは考えていないことが明らかだろうと思います。
 そして、私もそれほど平均から外れた検事だったとは思っていないのです。
 私が起訴した事件で無罪になった事件は1件もありませんでしたし、認定落ちした事件も私が確認した範囲で1件だけでした。

 というわけで半ば言い訳半ば自慢話になりましたが、検事は警察の捜査を鵜呑みにはしていないことをご理解願いたいと思います。

追記
  y_okamura先生のさらに詳細な分析があります。
 一度ご覧ください。
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~y_oka/dayary/daiary.htm
の「2005年11月21日(月)殺人事件処理状況」です。
モトケン (2005年11月20日 00:52) | コメント(10) | トラックバック(1) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:検事の認識 - 元検弁護士のつぶやき


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