2013年2月25日月曜日

公判の全面非公開を要請・両親殺害事件で長男弁護団<元検弁護士のつぶやき>



公判の全面非公開を要請

両親殺害事件で長男弁護団(共同通信)
なお、(読売新聞)

 両親殺害事件で逆送後起訴された16歳の少年の刑事裁判で、弁護団が裁判の全面非公開を求めているとのことです。

 その理由というのが

関係者によると、弁護団は非公開を求める理由として、未成年の長男は自分の考えを十分に言えない恐れがあり、憲法が保障する適正で公平な手続きによる裁判を受ける権利を害し、公序良俗に反するとしている。

ということのようです。

 私は、憲法の保障する公開裁判の原則というのは、「適正で公平な手続きによる裁判を受ける権利」を保障するためのものであると理解していたのですが、場合によって全く逆の事態が生じる、少なくとも主張される、というのはとても興味深く思われます。

 思いつきの私見としては、全面非公開には問題があるように思います。
 検察官送致(逆送)を決定するということは、そのほぼ必然的な結果としての公判請求(起訴)を認めることになるわけですから、ある程度少年法の理念は後退せざるを得ないように思います。
 
 もっとも、この意見に対しては、少年事件における検察官送致の意味に関する見解の相違によって、当然批判はあるものと考えます。
 要するに私も迷っているということですが。

 制度上の不備なのかもしれませんが、現時点の落としどころとしては、せいぜい証人尋問におけるビデオリンク方式等を認めた刑事訴訟法第百五十七条の四の準用くらいではなかろうか、などと思っております。

 報道された伝聞に基づく範囲での意見ですが、弁護団の主張にはあまり説得力が感じられません。
 もっと少年法の理念に即した理由が述べられるべきだと思います。
 すでに述べられているのかもしれませんが、弁護団の主張の詳細を知りたいものです。
モトケン (2005年10月19日 18:29) | コメント(5) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)
コメント(5)
No.1 PINE さん | 2005年10月19日 20:51

難しい問題ですね。
モトケンさんのご指摘のとおり、公開裁判というのは、「適正で公平な手続きによる裁判を受ける権利」の中核をなすものと思います。
ただ、憲法37条は公開裁判を受ける「権利」と規定し、裁判の公開を定めた82条は2項で例外を認めています(非公開といっても82条2項に規定する場合が限度でしょう。)。
一方で、少年法の理念というのも、突き詰めれば憲法13条に行き着くのではないでしょうか。
要するに私も迷います。
口述試験で出題したら面白そうですね。
No.2 薩摩浪人 さん | 2005年10月19日 21:16

うーん
いつかも使いましたが,うーんとしか述べ難いです

公開裁判で,殺人被告事件遺族が,被告人の一挙手一挙動を見つめて弾劾し,怨念を晴らすこと,これによって私的復讐を押さえる機能を果たすことという,おそらく教科書には書かれていない機能があると考えます
しかしながら,本件で遺族は,被害者たる両親両名であり,上記理由付けは,何らの根拠がありません

うーん
となると,興味本位のマスコミの眼から隔離することにも一理あるような気がしないわけでもないような

うーん
No.3 薩摩浪人 さん | 2005年10月19日 21:27

補足
舌足らずですみません
殺人被告事件で,遺族のすすり泣く声を耳にし,冒頭陳述の朗読が不可能となり,裁判所に暫時休廷を求めたという,ほんとにアホなヤメケンのたわいもない感想ですから聞き流してやって下さい
No.4 モトケン さん | 2005年10月19日 22:23

PINEさん、TBありがとうございました。
>口述試験で出題したら面白そうですね。
おもしろそうですが、私は受けたくありません(^^;
No.5 モトケン さん | 2005年10月19日 22:27

薩摩浪人さん
強姦殺人事件の遺族調書の要旨の告知のときに、声をつまらせただけの元検に比べればはるかに尊敬に値します。

引用:公判の全面非公開を要請 - 元検弁護士のつぶやき


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