2013年2月25日月曜日

かくして、思考力の鍛えられていない合格者が量産される、というわけです<元 検弁護士のつぶやき>



司法試験予備校考

 「考」と書いてますが、要するに批判です。

 これから予備校批判をしようという私ですが、実は、私自身予備校に行ったことがありません。
 ですから、これから述べることは、予備校に通っていた学生から聞いた話、司法試験委員経験者から聞いた最近の論文答案の傾向、法曹諸先輩から聞いた最近の合格者の印象、予備校に通っていた学生の答案を採点した私の印象等の、いずれも伝聞または間接的は証拠に基づくものですので、的外れな批判を述べる可能性が決して少なくありませんので、その場合は遠慮なくご指摘いただきたいと思います。

 予備校といっても、その全てが批判の対象になるかというと必ずしもそうではなく、講師の先生には優れた研究者の方がなっておられる場合がありますので、講義としては相当な水準の講義がなされているのではないかと推察しております。

 問題なのは、答案練習会における指導ではないでしょうか。
 予備校の答案練習会では、思考力が鍛えられていないように思われるのです。

 そのように考える根拠は、

 その1 講師は優秀な方を揃えることができても、講師の方が答練の採点まで手が回るとは思えず、予備校OBの司法修習生、若手弁護士などが採点や添削をしているのではないかと想像しており、添削者のレベルはそれほど高くないのではないかと思われること。

 その2 学生から答練の指導内容を聞くと、「知らないことは書くな」、「わからないことは書くな」などと指導されるということであり、完全な守りの答案、記憶に頼る答案を書くように指導されているようなもので、考える訓練や自分の考えを述べる訓練がなされているとは思えないこと。

 その3 私自身が学生の答案を採点した印象として、典型的な論点の問題を出すと、概ね3種類くらいの金太郎飴答案ばかりであり、つまり答案構成がほとんど同じ、論点の指摘もその理由付けも最初の10文字くらいを読むと、それ以下の2~3行がほとんど予想できてしまうものであり、実際読んでみても予備校の参考書をコピーアンドペーストしたかのごとく同じであって、ほんとに理解して書いているのか、単に記憶に頼って書いているのかわからないような答案であること。
 この点は、司法試験委員経験者の何人かの方も同様の印象を述べられてました。

 その4 ゼミなどにおいて、自説の理由付けを聞いていくと、一応の理由は答えるが、さらにそう考える理由・根拠を聞くと、とたんに思考停止状態に陥る学生が少なくないこと。

 その5 先輩法曹に聞くと、バッジの種類を問わず、一様に、最近の若い法曹は応用力のない人間が多い、と嘆いておられること。

などなどであります。

 結論めいたことを急ぎますと、

 予備校では、いわゆる論点についての論証パターンを覚えることを要求され、答案作成においては、問題文から論点を見つけ出し、見つかった論点に対してパターン化した理由付けを付してあらかじめ用意された結論を書くのがよい答案とされている

のではないかと邪推しているわけです。
 そのように考えますと、全ての辻褄があうからです。

 現行司法試験の論文は、本来の出題意図からすれば、上記のような答案がよい答案とはされていないはずです。

 ところが、現在では、ほとんど全ての受験生が予備校に通っており、ほとんど全ての受験生が予備校の指導どおりの答案がよい答案であると考えて解答しているものと思われます。

 そうするとどうなるかと言いますと、ほとんどの答案が予備校の採点基準で書かれる結果、試験委員としてもその基準の中で優劣を付けざるを得なくなります。
 つまり、予備校の採点基準が事実上の試験委員の採点基準になってしまうことになります。
 そうなると、予備校でいい評価を受けた受験生が合格しやすいということになり、予備校の指導に従っていれば合格できる、ということになります。
 かくして、思考力の鍛えられていない合格者が量産される、というわけです。

 以上は、かなり強引なまた偏った見解かも知れませんが、当たらずとも遠からじ、と思っています。

 もとより、全ての予備校を十把一絡げにした意見であり、異論、反論が多々あることは予想しておりますので、皆さまの忌憚のないご意見をいただければ幸いです。
モトケン (2005年10月19日 20:24) | コメント(26) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:司法試験予備校考 - 元検弁護士のつぶやき


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