2013年2月25日月曜日

主催した裁判所においては、この点についての分析検討を行って<元検弁護士のつぶやき>

模擬裁判で結論が分かれることについて

「模擬」判決分かれる(毎日新聞 2008年9月30日 21時37分)

 正当防衛や過剰防衛が認められるかどうかが争われた架空の傷害致死事件を題材にした裁判員制度の模擬裁判が29、30の両日、東京地裁で実施された。4グループに分かれて審理した結果、3グループは正当防衛や過剰防衛を認めなかったが、1グループだけが過剰防衛が成立するとして刑を減軽し、判断が分かれた。

 上記が毎日の記事の冒頭の一文であり、見出しも「判決分かれる」としていますから、記者(及び編集者)が、判決が分かれたことに注目していることは分かりますが、この記事だけからは、その点についてどう評価しているかはよく分かりません。

 素人の皆さんから見れば、同じ事件の判決が裁判所の構成メンバーが変わることによって結論が異なることについて、かなりの違和感があるかも知れないなと想像しています。
 法律家的には、それ自体が当然の現象であるとまでは言うべきではないかも知れませんが(判断の客観性に問題があることになります)、司法制度としては、当然想定している事態(現実問題として完全な客観性を確保することが困難)であると考えています。
 ということを認めてしまいますと、裁判所の構成メンバーを選べない被告人としては、運不運によって量刑が変わることがあることを認めることになってしまうわけですが、運不運の要素は否定できないとしても、できる限り少ないほうがよいことは間違いないだろうと思います。

 そうすると、この模擬裁判で判決内容がことなる結果になった要因としてはどのようなものがあるのだろうか、ということが気になってきます。
 模擬裁判を主催した裁判所においては、この点についての分析検討を行っているのでしょうか?
 仮にの話ですが、評議における裁判長の誘導に原因があったりしたら、少なくとも裁判員制度を採用した趣旨からすれば問題があることになるのではなかろうかと思います。
 他の要因があるとしたら、それが望ましいものか望ましくないものかを検討して、望ましくないのであれば改善の必要が生じます。
モトケン (2008年10月 1日 09:34) | コメント(10) | トラックバック(1) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top) 引用:模擬裁判で結論が分かれることについて - 元検弁護士のつぶやき


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